
南部ベトナムを代表する都市として発展を続ける大都市の生活基盤の一つに、医療機関の充実が挙げられる。多くの居住者や観光客が安心して滞在できるように、多様な病院が整備されているのが特徴だ。かつては医療水準に課題が残っていた国の都市部も、経済成長や海外資本の影響、行政当局の改革によって、医療設備が徐々に現代的なものへと生まれ変わりつつある。この都市には公立と私立の病院が存在し、その役割やサービスの内容は大きく異なっている。公立病院は地元住民を重点的に受け入れており、各区など利便性の高い場所に点在している。
利用料が安価であるため、多くの市民が利用しているものの、診療科によっては待ち時間が非常に長かったり、医療従事者の対応が忙しないこともある。中には、緊急時に速やかな処置が求められる救急医療や感染症に特化した機関も設置されている。衛生面や設備に関しては段階的に改善はされているとはいえ、建物がやや古かったり、内装が簡素な場合も多い。そのため、地元住民の間でも、公立のみならず患者のニーズによって医療機関を使い分ける傾向がみられる。一方、私立の病院は経済的に余裕のある層や外国人にも対応する体制が整えられている。
多くの施設では近代的な医療機器を導入しており、英語や一部の国の言語に対応する通訳を揃えているのが特徴である。外来診療・検査・入院・外科手術など主要な医療サービスはもちろん、健康診断や美容医療にも力を入れている機関が多い。国際認証を取得している施設も増えてきたことから、海外からの患者も安心して利用できる水準へと引き上げられている。清潔で快適な入院施設や医師による丁寧なカウンセリングなど、患者へのサービス意識が高い。しかし、費用面では地元公立よりも高額となる傾向がある。
各私立病院では保険の適用範囲や支払い方法について事前の説明が行われており、利用者が安心して受診できるような体制づくりが進められている。この都市は急速な都市化が進んだため、大小さまざまな医療機関が市街地や新興開発地域に建てられた。感染症や交通事故の発生率が高いこともあり、救急医療体制への関心が高まっている。救急車による搬送システムも徐々に強化されてきているが、道路渋滞による遅延、緊急対応の指針など、課題も未だ存在する。そのため、診療科の豊富さやアクセスの良し悪し、夜間・休日対応といった利便性は、病院選びの重要な基準となっている。
保健医療分野で重要視されているのは、一般的な内科・外科だけではない。小児科や産婦人科、循環器系、整形外科、皮膚科、耳鼻咽喉科など多様な診療科が揃っているところも多い。疾患ごとに専門性の高い診療を行う基幹病院が、診断や治療の拠点となっている。とりわけ、都市部には高度な画像診断(超音波やCT・MRI等)の導入や良質なリハビリテーション設備の充実も功を奏している。近年は生活習慣病の増加を背景として、糖尿病センターや心臓病センターといった専門診療部門も注目されている。
外国人の利用者向けの医療にも独自の配慮が施されている。多言語対応の案内窓口や海外の保険証に対応する会計処理、国外への移送が必要な場合の調整ポリシーなど、多様な国籍の人々が安心して治療を受けられる環境づくりが進められる。旅行者向けには予防接種や急性疾患の対応、健康証明書の発行なども柔軟に行われている。次々と医療水準やサービスレベルを引き上げる努力が続いているものの、手続きの複雑さや医療費の高騰、薬の入手方法、公的保険制度の適用範囲といった課題はまだ残っている。そのため、現地在住者や日本からの滞在者は、いざという時に備えて病院の情報や適切な連絡先、支払い手段を事前に確認しておくことが勧められている。
このエリアでは、病院を利用する際、受付から診察、検査や治療、会計まで一連の流れがシステム化されているところもあれば、昔ながらの人力による運用が残る場面も少なくない。医院ごとのそっけない対応や温かみのある対応など、現地ならではの文化的背景も感じられる。都市の成長とともに、人びとの健康に対する意識や医療への期待も着実に高まっている。安全かつ安心な暮らしを支える医療の現場が、外国人と地元民の双方にとって欠かせない存在となりつつある状況である。南部ベトナムの大都市では、急速な経済発展とともに医療機関の充実が進んでいる。
従来は医療水準に課題が残っていたが、経済成長や海外資本、行政改革の影響で、医療設備やサービスが現代的になりつつある。公立病院は市民の利用が多く費用も安価だが、待ち時間の長さや設備の古さ、簡素な内装が課題として残る。一方、私立病院は近代的設備や多言語対応、親切なサービスを備え、外国人や富裕層にも広く利用されている。ただし費用面では公立に比べて高い傾向がある。こうした背景から、利用者はニーズや状況に応じて医療機関を使い分けている。
都市化の進展や感染症、交通事故の多発を背景に、救急医療体制の強化も求められているが、依然として搬送の遅れや指針の明確化など改善の余地が残る。診療科も一般内科・外科に限らず、小児科や専門的なセンターが多数設けられ、リハビリや高度な画像診断の設備も充実。外国人向けの多言語対応や柔軟な保険対応、予防接種や証明書発行なども進められている。こうした進展が見られる一方で、手続きの煩雑さや高額な医療費、公的保険制度の課題も指摘されているため、滞在者は事前の情報収集が必要とされる。今後も都市の成長と健康意識の高まりと共に、医療現場の重要性は増していくことがうかがえる。